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高井戸東遺跡出土の旧石器(追加)

たかいどひがしいせきしゅつどのきゅうせっき(ついか)

概要

高井戸東遺跡出土の旧石器(追加)

たかいどひがしいせきしゅつどのきゅうせっき(ついか)

石器・石製品類 / 旧石器 / 関東 / 東京都

東京都

後期旧石器時代/約15000年~32000年前

旧石器時代石器    261点
旧石器時代炭化材     1点
   (内訳) 第6次調査  石器  153点
        第9次調査  石器  108点 ・ 炭化材 1点

 指定資料合計   2040点
    (内訳) 平成4年度指定     1778点
         平成23年度指定     262点

別紙 高井戸東遺跡出土石器器種別一覧 参照

262点

東京都杉並区上阿佐谷南一丁目15番1号

杉並区指定
指定年月日:19920000

有形文化財(美術工芸品)

 高井戸東遺跡は、武蔵野台地を流れる神田川流域に立地する後期旧石器時代を中心とした遺跡で、高井戸清掃工場建設に伴って行われた調査に端を発し、これまでに合計9次にわたる発掘調査が実施されている。
 このうち、昭和51年(1976)から同56年まで、5次にわたる発掘調査が集中的に行われ、立川ローム層第Ⅹ層より局部磨製石斧やナイフ形石器を伴う良好なまとまりを持つ石器群が発見され、後期旧石器時代の最古段階を特徴づける石器群として広く注目され、現在においても基準資料といての意義を有する。この成果を受け、5次の調査の中で出土した石器1778点は、平成4年(1992)に「高井戸東遺跡群出土の旧石器(西部台地・東部台地・駐車場西・近隣第一・近隣第三)」として指定された。
 今回、追加指定する資料は、平成8年に行われた第6次調査並びに同17~20年に行われた第9次調査によって出土した石器群261点と、第Ⅹ層より石器群とともに出土した炭化材1点で、本資料を追加した合計は2040点を数える。
 本石器群は、平成4年度に指定した石器群と対応する層位から出土しており、これまでに指定した石器群を含めて、当該期の歴史を語る上で重要なものである。また、第6次調査では、区内では希少な鉄石英を素材とする石器群がまとまって出土している。鉄石英は、鬼怒川上流域で採取可能な石材であり、遠隔地からもたらされた石材として捉えられ、石器を残した集団の行動範囲を知る上でも注目される。
 炭化材は、微小な炭化材が集中して出土する「炭化物集中部」に伴って出土した。樹種はマツ科トウヒ属とされ、長径200㎜・短径160㎜・高さ55㎜を測る。ローム層中で出土する炭化材は、通常、1~5㎜程度の微小な炭化材であることから、隔絶した大きさの資料といえる。炭化材が石器群とともに出土した事例が限られていることや、高井戸東遺跡出土石器群の最古層である立川ローム層第Ⅹ層から出土したこと、これまでの炭素年代測定によって32,000+-170BPという年代値が得られていることなど、武蔵野台地最古層の石器文化の理化学年代の根拠となる実資料として重要である。

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